
モバイルバッテリーの仕組みをわかりやすく解説【2026年完全ガイド】|充電・放電・保護の流れ
「モバイルバッテリー 仕組み」について、詳しく知りたい方へ。
モバイルバッテリーは、スマートフォンやタブレットを外出先で何度も充電できる便利なアイテムとして、多くの人が日常的に使っています。一方で、「どうやって電気を溜めて、どうやってスマホに渡しているのか」「中身は何で動いているのか」といった仕組みまで理解している人は、それほど多くないかもしれません。
仕組みを知っておくメリットはいくつかあります。製品のスペック表に出てくる**「mAh」「変換効率」「保護回路」**などの用語の意味が分かると、自分の使い方に合った機種を選びやすくなります。また、過充電・過放電を避けるなど、バッテリーを長持ちさせる使い方の根拠も理解できるようになります。さらに、故障や不具合が起きたときに、「どの部分に問題がありそうか」をある程度見当できるようになれば、安全性の面でも安心です。充電が進まない・途中で止まるといったトラブルの原因切り分けにも、仕組みの知識が役立ちます。
本記事では、モバイルバッテリーの仕組みを、次のような流れで解説します。まず「充電・放電・保護」という基本的な考え方と全体構成を押さえたうえで、内部を支えるバッテリーセル(リチウムイオン・リチウムポリマー)の役割を説明します。続いて、充電回路と放電回路がそれぞれどのように電力を扱っているか、保護回路やコントローラーがどう安全と制御を担っているかを解説します。そのうえで、実際の充電の流れと放電の流れをステップごとに整理し、最後に**効率(変換効率)**の考え方と、仕組みを理解したうえでの選び方・使い方のポイントをまとめます。
なぜ仕組みを理解するか
モバイルバッテリーは「電気の貯蔵庫」ではなく、外部から取り込んだ電力を一定のルールで蓄え、必要なときに安全な電圧・電流に変換して機器に渡す装置として動作しています。充電回路・放電回路・保護回路・コントローラーとバッテリーセルがどう連携しているかを押さえておくと、表示容量(mAh)と実質使える容量の差(変換効率)や、過充電・過放電を避ける理由、PSEマークや安全基準を確認する重要性が納得しやすくなり、選び方と日々の使い方の両方に活かせます。
先に結論(迷ったらここ)
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モバイルバッテリーは、充電回路・放電回路・保護回路・コントローラーで構成され、バッテリーセルに蓄えた電力を安全にやりくりしている
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充電時は外部電源から充電回路を通じてバッテリーセルに蓄え、放電時はバッテリーセルから放電回路を通じてスマホなどに供給する
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保護回路が過充電・過放電・過電流・短絡などを防ぐため、仕様とPSEマークなどの安全基準の有無は必ず確認したい
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変換効率(充電効率×放電効率)を意識すると、実質どれくらい使える容量かが判断しやすくなる
以下では、これらのポイントを構成要素ごと・流れごとに詳しく解説します。
モバイルバッテリーの仕組み:基本的な考え方
モバイルバッテリー 仕組みを理解するには、「充電」「放電」「保護」の3つの流れと、それを支える部品の役割を押さえるのが近道です。モバイルバッテリーは、単なる「電気の貯蔵庫」ではなく、外部から取り込んだ電力を一定のルールで蓄え、必要なときに安全な電圧・電流に変換して機器に渡す装置として動作しています。
充電の仕組みでは、家庭用コンセントやUSBポートなど外部電源から供給される電力を、充電回路が受け取ります。充電回路は、電圧や電流をバッテリーセル(実際に電気を蓄える部分)に適した形に整え、過充電にならないよう制御しながらセルに蓄えていきます。つまり「外部 → 充電回路 → バッテリーセル」という経路で、電気がモバイルバッテリーの「中」に取り込まれます。
放電の仕組みでは、蓄えた電気をスマートフォンやタブレットなどに渡します。バッテリーセルに貯まった電力を放電回路が取り出し、USBなどの規格に合わせた電圧・電流に変換してから、出力端子(USBポートなど)を通じて外部デバイスに供給します。流れは「バッテリーセル → 放電回路 → 外部機器」です。ここで重要なのは、セルの電圧をそのまま出すのではなく、5Vや9Vなど機器が求める電圧に変換する役割を放電回路が担っていることです。
保護回路は、充電時・放電時の両方で働きます。過充電(充めすぎ)、過放電(使いすぎ)、過電流(流れすぎ)、短絡(ショート)などが起きたときに、回路を遮断したり充電・放電を止めたりして、発熱や破裂・発火のリスクを抑えます。モバイルバッテリーの安全の要です。
コントローラーは、充電回路・放電回路・保護回路をまとめて制御する頭脳のようなものです。いつ充電を開始・終了するか、どの電圧で出力するか、保護回路と連携してどのタイミングで遮断するかなどを決めています。
仕組みの全体像をもう少し知りたい方は、モバイルバッテリー とはの記事もあわせて参照してください。
モバイルバッテリーは「充電・放電・保護」の3つの流れと、充電回路・放電回路・保護回路・コントローラーで構成される
充電は「外部電源 → 充電回路 → バッテリーセル」の経路で行われる
放電は「バッテリーセル → 放電回路 → 外部機器」の経路で、電圧は機器に合わせて変換される
保護回路が過充電・過放電・過電流などを防ぎ、コントローラーが全体の制御を担当する
バッテリーセルの仕組み
バッテリーセルは、モバイルバッテリーのなかで実際に電気を蓄えている部分です。パックに表示されている「10000mAh」「20000mAh」といった容量は、このセル(または複数セルの合計)が持つ容量を指しています。つまり、モバイルバッテリーの「貯蔵可能な電気の量」は、セルの種類・数・品質でほぼ決まります。
バッテリーセルとは、正極と負極のあいだで化学反応を起こし、充電時には電気を貯め、放電時には電気を取り出せるようにした部品です。モバイルバッテリーでは、ほとんどがリチウムイオン電池かリチウムポリマー電池(リチウムイオンポリマー)のセルが使われています。
リチウムイオン電池では、リチウムイオンが正極と負極のあいだを移動することで充電・放電が行われます。充電するとイオンが負極側に溜まり、放電すると正極側に戻るという往復により、電気の出し入れが可能になっています。円筒形や角形のセルが多く、比較的コストが抑えられ、多くのモバイルバッテリーで採用されています。
リチウムポリマー電池は、リチウムイオン電池の一種で、電解質に固体またはゲル状のポリマーを用いています。セルを薄く・扁平に作りやすいため、スマートフォンや薄型のモバイルバッテリーに適しています。同じ容量でもリチウムイオンより軽く、形状の自由度が高いのが特徴です。
容量は、セル単体または複数セルを直列・並列に組み合わせた総容量で決まります。表示容量(公称容量)と、実際に機器に渡せる電気量(実効容量)は異なり、後者は放電回路の変換効率や電圧変換のロスで減ります。選ぶときは「表示容量」だけでなく、効率や実測レビューも参考にするとよいでしょう。
バッテリーセルの種類(リチウムイオン/リチウムポリマー)やメーカー・グレードは、寿命や安全性にも影響するため、可能であれば製品仕様や信頼できるブランドを確認することをおすすめします。詳しくはモバイルバッテリー リチウムイオン リチウムポリマー 違いの記事も参照してください。
バッテリーセルが実際に電気を蓄える部分で、表示容量(mAh)の元になる
リチウムイオン電池は正極・負極間のリチウムイオンの移動で充放電する
リチウムポリマー電池は薄型・軽量にしやすく、スマホや薄型パック向き
実効容量は変換効率で表示容量より少なくなるので、効率や口コミも確認する
充電回路の仕組み
充電回路は、USBポートやACアダプタなど外部から供給される電力を、バッテリーセルが安全に受け取れる形に変えて充電する役割を持ちます。家庭用コンセントはAC(交流)、USBは通常5VのDC(直流)ですが、バッテリーセルが要求する電圧・電流とは一致しないため、充電回路で変換・制御する必要があります。
充電回路とは、入力電圧をセルの電圧帯(だいたい3.0V〜4.2V程度の範囲)に合わせ、充電電流を制限しながら一定のルール(定電流・定電圧など)で充電する回路です。単に「つなげば流れる」のではなく、充電の進行に応じて電流や電圧を変えることで、満充電に近づけつつ過充電を防いでいます。
充電制御では、主に「電流の大きさ」と「電圧の上限」が管理されます。電流が大きすぎるとセルの劣化や発熱が進み、電圧が高すぎると過充電になります。そのため、多くの製品ではCC(定電流)充電からCV(定電圧)充電へ切り替えるなどの制御が組み込まれています。コントローラーがセルの電圧や温度を監視し、充電回路に指示を出しているイメージです。
急速充電に対応したモバイルバッテリーでは、充電回路が高い入力電力(例:18W、45W)を受け入れ、許容できる範囲で大きな電流をセルに流します。そのぶん発熱しやすいため、熱対策や温度監視が重要になります。USB PDやQCなどの規格に対応しているかは、充電回路とコントローラーの設計次第です。
保護機能として、充電回路まわりでも過充電防止が行われます。セルが満充電に近づいたら充電を止める、あるいはトリクル充電(ごく弱い電流)に切り替えるといった制御は、充電回路と保護回路が連携して実現しています。
購入時には、入力ポートの規格(USB Type-C、USB PD対応など)や最大入力ワット数が自分の充電環境(アダプタ・ケーブル)と合っているか確認するとよいでしょう。急速充電の詳細はモバイルバッテリー 急速充電 とはを参照してください。
充電回路は外部電源の電圧・電流をセル向けに変換し、過充電にならないよう制御する
充電制御では電流の上限と電圧の上限が管理され、CC/CVなどの方式が使われる
急速充電対応機は高い入力電力を受け入れ、熱対策と温度監視が重要
入力規格(USB PD・QC等)と最大入力ワット数は、使うアダプタ・ケーブルと一致させたい
放電回路の仕組み
放電回路は、バッテリーセルに蓄えた電力を、スマートフォンやタブレットなどが使える電圧・電流に変換して外部に供給する役割を持ちます。セルの電圧は満充電でも4.2V前後であり、USB機器が期待する5Vや9V、15Vなどとは異なるため、昇圧(ブースト)などの変換が放電回路で行われます。
放電回路とは、DC-DCコンバータなどを用いてセルからの電力を安定した出力電圧に変換し、出力端子(USB-AやUSB Type-Cなど)から機器に渡す回路です。複数の出力ポートがある製品では、それぞれに対して適切な電圧・電流を供給するため、放電回路側でポートごとの制御や分配が行われています。
出力制御では、接続された機器が要求する電圧(5V、9V、12V、15V、20Vなど)や電流を、規格(USB BC、USB PD、QC等)に沿って交渉し、可能な範囲で供給します。コントローラーが機器とのやり取り(ハンドシェイク)の結果に基づき、放電回路に「どの電圧で出力するか」を指示する形です。出力電流が大きすぎないよう制限する役割も放電回路と保護回路が担います。
出力ポートが複数ある場合、内部では1つのセル(またはセル群)から取り出した電力を、放電回路で分配して各ポートに送っています。総出力や各ポートの最大電流は仕様に記載されているので、複数機器を同時に充電するときは合計が定格を超えないか確認すると安心です。
保護機能として、放電回路まわりでは過放電防止と過電流防止が重要です。セル電圧が下限を下回る前に放電を止める過放電保護、機器の故障などで大きな電流が流れたときに遮断する過電流保護により、セルの劣化や発熱・事故を防ぎます。
選ぶ際には、自分のメイン機器が求める電圧・規格(USB PD、QCなど)と、モバイルバッテリーの出力仕様が合っているかを確認することをおすすめします。詳細はモバイルバッテリー ワット数 違いの記事も参照してください。
放電回路はセル電圧を5V/9V等に変換し、USBポートから機器に電力を供給する
出力制御で電圧・電流を規格に合わせ、過電流も制限される
複数ポートは1系統の放電回路で分配されるため、合計出力が定格内か確認したい
過放電・過電流の保護によりセルの劣化と事故を防ぐ
保護回路の仕組み
保護回路は、モバイルバッテリーが過充電・過放電・過電流・短絡などの異常状態に陥ったときに、充電または放電を止めて機器とユーザーを守るための回路です。リチウム電池は正しく使えば安全ですが、限度を超えた使い方をすると発熱・膨張・発火のリスクがあるため、保護回路の有無と品質は安全性の要となります。
保護回路とは、セルの電圧・電流・温度などを監視し、あらかじめ決められた閾値を超えたら充電や放電の経路を遮断する仕組みです。多くの製品では保護IC(保護回路用のチップ)が使われ、充電回路・放電回路と連携して動作します。
過充電保護は、セル電圧が満充電付近(例:4.2V〜4.35V程度)に達したら充電を止める機能です。充電回路に「充電停止」の指示を出したり、充電経路を物理的に切り離したりすることで、これ以上電気を流さないようにします。過充電が続くとセルの劣化や危険性が高まるため、必須の保護です。
過放電保護は、セル電圧が下限(例:2.5V〜3.0V付近)を下回る前に放電を止める機能です。放電回路側をオフにし、それ以上セルから電流を流さないようにします。過放電が進むとセルの回復が難しくなったり、劣化が進んだりするため、早めに遮断することが大切です。
過電流保護は、短絡や故障した機器への供給などで大きな電流が流れたときに、放電を止めて発熱や損傷を防ぐ機能です。復帰するには条件(機器を外す、一定時間待つなど)が製品ごとに定められていることがあります。
購入時には、製品説明や取扱説明書で保護機能の記載があるか、PSEマークや安全規格(電気用品安全法)を満たしているかを確認することをおすすめします。詳しくはモバイルバッテリー 安全基準 とはの記事も参照してください。
保護回路は過充電・過放電・過電流・短絡を検知し、充放電を遮断して安全を守る
過充電保護は満充電付近で充電を止め、過放電保護は電圧下限前に放電を止める
過電流保護は短絡や異常電流時に放電を止め、発熱・損傷を防ぐ
PSEマークや安全規格の有無を確認してから購入したい
コントローラーの仕組み
コントローラーは、モバイルバッテリーの「頭脳」とも言える部分で、充電回路・放電回路・保護回路に指示を出し、いつ・どのように充電・放電するかを統合的に制御しています。単独で動く回路ではなく、コントローラーが全体の動作を管理する仕組みです。
コントローラーとは、マイコン(マイクロコントローラ)や電源管理ICなどを用いた制御回路のことです。セルや各回路の状態(電圧・電流・温度)を読み取り、充電の開始・停止、出力電圧の切り替え、保護回路との連携などをプログラムに従って実行します。LED表示や残量表示の制御もコントローラーが担っている場合がほとんどです。
充電制御では、コントローラーが入力電源の種類や能力を検出し、充電回路に「どの電流・電圧で充電するか」を指示します。急速充電規格に対応している製品では、入力側と交渉(USB PDのネゴシエーションなど)して許容できる最大の電力で充電するかどうかを決めています。また、セル温度が高いときは充電電流を下げるなど、安全範囲内に収める制御も行います。
放電制御では、接続した機器とのやり取り(USB PDやQCのハンドシェイク)に基づき、放電回路に「5V/9V/15Vのどれで出力するか」を指示します。複数ポートがある場合は、分配や優先度の制御もコントローラーが担当します。
保護制御では、保護回路(または保護IC)が検出した異常を受け、コントローラーが充電・放電の停止や表示の変更を行うことがあります。両者が連携することで、よりきめ細かい保護と復帰手順の管理が可能になります。
ユーザーからは直接「コントローラー」を選ぶことはほとんどできませんが、仕様やレビューで「充電・放電の制御がきちんとしているか」「表示と実際の挙動が一致しているか」を確認すると、品質の目安になります。
コントローラーが充電・放電・保護を統合的に制御し、LEDや残量表示も担当する
充電制御では入力能力の検出と充電回路への指示、温度に応じた電流制限を行う
放電制御では機器との規格交渉に基づき出力電圧を決定する
保護回路と連携し、異常時の停止や復帰手順を管理する
充電の流れ
モバイルバッテリーが充電されるまでの流れを、実際の操作に近い順で整理します。理解しておくと、充電が進まないときや遅いときに「どこで止まっているか」を想像しやすくなります。
外部電源の接続では、ユーザーがACアダプタやパソコンのUSBポートなど、充電可能な電源をモバイルバッテリーの入力用ポート(USB Type-CやMicro USBなど)に接続します。ここで、ケーブルやアダプタの規格・許容電流が足りないと、その後の最大充電速度が制限されます。
充電回路による充電では、入力された電力を充電回路が受け取り、バッテリーセルに適した電圧・電流に変換して充電を開始します。コントローラーが入力能力を検出し、許容される範囲で効率よく充電するモードを選びます。急速充電対応の場合は、USB PDやQCなどでネゴシエーションが行われる段階です。
保護回路による保護は、充電中ずっとバックグラウンドで働いています。セル電圧が満充電近くに達したら過充電保護が作動し、充電を止めるよう充電回路やコントローラーに働きかけます。また、異常な温度上昇や電流を検出した場合も、充電を停止して安全を優先します。
充電完了では、満充電に達した(または機能的に「満充電」と判断した)時点で充電が停止し、多くの製品ではランプや表示で「完了」を示します。このあと、そのまま接続し続けても過充電保護により再開しない、あるいはトリクル充電程度に抑えられる設計が一般的です。
「充電が進まない」「遅い」と感じるときは、入力側(アダプタ・ケーブル・ポートの規格)、充電回路側(製品の入力仕様)、そして保護回路が作動していないかを、順に疑うと原因を絞り込みやすくなります。
充電の流れは「外部電源の接続 → 充電回路でセルに充電 → 保護回路で過充電などを防止 → 完了で停止」
入力側のアダプタ・ケーブル・規格が充電速度の上限を決める
保護回路は充電中も動作し、満充電や異常時に充電を止める
充電が進まない場合は入力・充電回路・保護の順に確認するとよい
放電の流れ
モバイルバッテリーからスマートフォンなどへ電気が渡るまでの流れを、ステップごとに整理します。放電時も保護回路が働いていることが、安全に使ううえで重要です。
外部デバイスの接続では、ユーザーがスマートフォンやタブレットなどを、モバイルバッテリーの出力ポート(USB-AやUSB Type-Cなど)にケーブルで接続します。機器側が充電を要求すると、モバイルバッテリー側はそれに応じて放電を開始します。
放電回路による放電では、バッテリーセルに蓄えた電力を放電回路が取り出し、機器が要求する電圧(5V標準や、USB PDなら9V・15V・20Vなど)に変換して出力します。複数ポートがある製品では、接続された機器ごとに適切な電圧を供給するため、放電回路が分配・制御を行います。コントローラーは機器との規格交渉の結果に基づき、出力電圧を決定しています。
保護回路による保護は、放電中も継続して働きます。セル電圧が低下して過放電領域に近づいたら、過放電保護が作動して放電を停止します。また、短絡や故障した機器への接続で過電流が流れた場合も、過電流保護で放電を止め、発熱や破損を防ぎます。
放電完了は、セルがほぼ空になった、または保護回路が動作して放電が止まった状態です。多くの製品では、ランプが消えるか「空」を示す表示になります。ここまで使ったあとは、できるだけ早めに充電するのがセル寿命の観点では望ましいとされています。
「つないでも充電されない」「途中で止まる」といったときは、ケーブル・機器側の故障のほか、過放電保護や過電流保護がかかっていないか、出力仕様と機器の要求が合っているかを確認すると原因の切り分けに役立ちます。
放電の流れは「機器の接続 → 放電回路が電圧を変換して出力 → 保護回路が過放電・過電流を監視 → 空で停止」
出力電圧は機器との規格交渉(USB PD等)の結果で決まる
過放電・過電流保護が放電中も働き、異常時に遮断する
放電完了後は早めの再充電がセル寿命のためにおすすめ
効率の仕組み
モバイルバッテリーの効率は、「入れた電気のうち、実際に機器に渡せる量がどれくらいか」を決める要素です。表示されている容量(mAh)がそのまま使えるわけではなく、充電時と放電時の両方でロスが発生するため、総合効率(変換効率)を考える必要があります。
充電効率は、外部電源から供給された電力のうち、バッテリーセルに実際に蓄えられた割合です。充電回路での熱や変換ロス、セル内部の化学的な効率などにより、100%にはなりません。一般的な製品では80%〜95%程度といわれており、急速充電時は発熱の影響でやや低下することもあります。
放電効率は、セルに蓄えられた電力のうち、出力端子から外部に取り出せる割合です。放電回路の昇圧や安定化のロス、保護回路の消費などが効率を下げます。こちらも80%〜95%前後の製品が多く、出力電圧を高くする(例:5Vより9Vで出力)場合には変換ロスが増える傾向があります。
総合効率は、充電効率と放電効率をかけ合わせたものです。例えば充電効率90%、放電効率85%なら、総合効率は約77%になります。つまり、10000mAhのセル容量でも、外部から取り込んで再び機器に渡せるのは、実質7700mAh分程度というイメージです。製品スペックやレビューで「変換効率」「実効容量」が記載されている場合は、この総合効率を反映していることが多いです。
確認の重要性として、同じ表示容量でも効率が高い製品のほうが、実質的に多くの電気を機器に届けられます。長時間の外出や、スマートフォンを何回分充電したいかで選ぶときは、表示容量だけでなく効率や実効容量の記載・口コミを参考にすると失敗が少ないでしょう。
最適化の観点では、ユーザー側では「高温・低温を避ける」「規格に合ったケーブル・アダプタを使う」といった使い方で、効率をなるべく落とさずに使うことができます。
総合効率=充電効率×放電効率で、表示容量からどれだけ機器に届くかが決まる
充電効率・放電効率は多くの製品で80%〜95%程度
実質使える容量は表示容量より少ないため、実効容量や変換効率の記載を確認したい
高温・低温を避け、適合したケーブル・アダプタで効率を維持しやすい
まとめ:モバイルバッテリーの仕組み
モバイルバッテリーの仕組みを、構成要素と流れの面から整理し直します。
基本的な仕組みとして、モバイルバッテリーは充電回路・放電回路・保護回路・コントローラーで構成され、中心にあるバッテリーセルに電気を蓄え、安全に取り出せる形に変換して外部機器に供給しています。リチウムイオンまたはリチウムポリマーのセルが使われ、容量(mAh)はこのセルで決まります。
充電の流れでは、外部電源から供給された電力を充電回路がセルに適した形に変換し、保護回路が過充電などを防ぎながら満充電まで充電し、完了すると停止します。急速充電では、入力側と製品が規格で交渉し、許容される範囲で大きな電力で充電します。
放電の流れでは、セルに蓄えた電力を放電回路が5Vや9Vなど機器が求める電圧に変換し、出力ポートから供給します。保護回路は過放電・過電流を監視し、異常時には放電を止めて安全性を確保します。
保護機能は、過充電・過放電・過電流・短絡などに対する保護が必須です。PSEマークや安全基準に適合した製品を選び、説明書に記載された使い方を守ることが、長く安全に使うための前提です。
仕組みを理解しておくことで、スペックの読み方、自分に合った容量・出力の選び方、充電が進まない・止まる場合の切り分けがしやすくなります。本記事で解説した流れと用語を参考に、実用や製品選定に活かしてもらえれば幸いです。
構成は充電回路・放電回路・保護回路・コントローラーとバッテリーセル
充電は外部→充電回路→セル、放電はセル→放電回路→機器の流れで行われる
保護回路で過充電・過放電・過電流を防ぎ、安全基準適合品を選ぶことが重要
効率と実効容量を意識すると、実用的な容量選びがしやすくなる
よくある質問
Q. モバイルバッテリーの仕組みは?
A. モバイルバッテリーは、充電回路・放電回路・保護回路・コントローラーで構成され、中心にあるバッテリーセルに電気を蓄えて安全にやりくりする仕組みです。
充電時は、外部電源(ACアダプタやUSB)から供給された電力を充電回路がセルに適した電圧・電流に変換して蓄えます。放電時は、セルに蓄えた電力を放電回路が5Vや9Vなど機器が求める電圧に変換し、出力ポートからスマートフォンやタブレットに供給します。保護回路が過充電・過放電・過電流を防ぎ、コントローラーが全体の制御と機器との規格交渉(USB PDなど)を担当しています。
Q. バッテリーセルとは何ですか?
A. バッテリーセルは、モバイルバッテリーの内部で実際に電気を蓄えている部品です。製品に表示されている容量(mAh)は、このセルが持つ容量(または複数セルの合計)を指しています。
多くのモバイルバッテリーではリチウムイオン電池またはリチウムポリマー電池のセルが使われます。リチウムイオンは円筒形・角形でコストを抑えやすく、リチウムポリマーは薄型・軽量にしやすいためスマートフォンや薄型パックに採用されています。実質的に使える容量は、放電回路の変換効率などの影響で表示容量より少なくなります。
Q. 保護回路の役割は?
A. 保護回路は、過充電・過放電・過電流・短絡といった異常を検知し、充電や放電を止めてモバイルバッテリーと接続機器、ユーザーを守る役割を持ちます。
過充電保護は満充電付近で充電を停止し、過放電保護はセル電圧が下限を下回る前に放電を停止します。過電流保護は短絡や故障した機器への大電流供給を遮断し、発熱や破損を防ぎます。正規品では保護回路(保護IC)が組み込まれているのが一般的ですが、PSEマークや安全規格の有無を確認してから購入すると安心です。
Q. 充電と放電の流れは?
A. 充電の流れは「外部電源の接続 → 充電回路が電力をセルに適した形に変換して充電 → 保護回路が過充電などを監視 → 満充電で停止」です。
放電の流れは「機器を出力ポートに接続 → 放電回路がセルからの電力を5V/9V等に変換して出力 → 保護回路が過放電・過電流を監視 → 空または保護で停止」です。充電が進まない・放電が途中で止まる場合は、入力側の規格、ケーブル、保護回路の動作の順に確認すると原因を絞り込みやすくなります。
Q. 変換効率(総合効率)とは?
A. **変換効率(総合効率)**は、充電効率と放電効率をかけ合わせた値で、「入れた電気のうち機器に届く割合」の目安になります。
充電時に外部から取り込んだ電力の一部は充電回路やセルで熱として捨てられ、放電時も放電回路の昇圧などでロスが出ます。そのため表示容量10000mAhでも、実質的に機器に渡せるのは多くの製品で70〜85%程度(実効容量7000〜8500mAh程度)です。同じ表示容量なら効率が高い製品のほうが実用上多く使えるので、スペックやレビューで「変換効率」「実効容量」の記載を確認すると選びやすくなります。
まとめ
モバイルバッテリーの仕組みは、充電回路・放電回路・保護回路・コントローラーと、中心にあるバッテリーセルで成り立っています。
充電時は、外部電源(ACアダプタやUSB)から供給された電力を充電回路がバッテリーセルに適した電圧・電流に変換して蓄えます。過充電にならないよう、充電回路と保護回路が連携して制御しています。放電時は、セルに蓄えた電力を放電回路が5Vや9Vなど機器が求める電圧に変換し、出力ポート(USB-AやUSB Type-Cなど)からスマートフォンやタブレットに供給します。保護回路は、過充電・過放電・過電流・短絡を検知し、充電や放電を止めて安全性を確保します。コントローラーは、充電・放電・保護を統合的に制御し、機器との規格交渉(USB PDなど)も担当しています。
実質使える容量は、変換効率(充電効率×放電効率)の影響で表示容量(mAh)より少なくなります。同じ表示容量でも効率が高い製品のほうが、実用上多くの電気を機器に届けられるため、スペックやレビューで「変換効率」「実効容量」を確認すると選びやすくなります。仕組みを理解しておくと、スペックの読み方や容量・出力の選び方、充電が進まない・止まる場合の原因切り分けに役立ちます。PSEマークや安全基準を満たした製品を選び、説明書に沿って使うことをおすすめします。
